ハニーハニー

「ハニーハニー」は1992年9月に発売された3rdアルバム「惑星のかけら」に収録されました。

作詞・作曲:草野正宗、編曲:スピッツ

ハニーハニー 抜けがらの街で会おうよ

もうこれで無敵だ 最後の恋

ハニーハニー 月明り浴びて踊ろうよ

罪の花をばらまきながら

この曲の歌詞を最後まで読むとあることに気がつきます。

それは、旧約聖書に出てくる「アダムとエバエデンの園(楽園)からの追放」の物語に似ているということです。

そこで、これから、この曲がそれをモチーフに作られていると想定して読んで行きましょう。

また、マサムネさんがそこにどんな意味を含ませているのかも併せて考えていきたいと思います。

 

まず、「抜けがらの街」とあるのは、アダムとエバが最初の人間であり、その他にはまだ誰も存在していないこと、また、アダムが創造された時、楽園の外には何も創られなかったとされていることが思われます。

「無敵」になったのは、神に食べることを禁止されていた「善悪の知識の実」を食べたからと考えられます(これについては後述します)。

「最後の恋」この世に人間は二人しかいませんので、必然的に最初で最後の恋になります。しかし、それまで「恋」を知らなかった二人にとっては大変に大きな出来事です。

「罪」とはその実を食べることで二人が犯したとされる罪のこと。旧約聖書では「神に背くこと」とされています。これが人間の原罪となりました。

 

まだ”そうかな?”と思われるでしょう。続いて読んで行こうと思います。

ハニーハニー It's so brilliant!! ハニーハニー 僕らに

ハニーハニー It's so brilliant!! ハニーハニー 天国が

落ちてくる日まで

「It's so brilliant!!(素晴らしいことだ!!)」

「アダムとエバの楽園からの追放」は、人間が背負う原罪の物語とされますが、この曲では反対に捉えられているようです。

それは先ほどの「もうこれで無敵だ」と関係があります。

神から決して食べないように言われていた「善悪の知識の実」とは、何が善で何が悪かを、神ではなく人間が自分で決めることが出来るようになる木の実です。

それを食べたことで、アダムとエバは、これまでのように神に従うのではなく、自分で善悪の判断が出来るようになりました。

これが「無敵」になった理由です。

この曲では、誰かの言いなりで楽に生きるよりも、苦しくとも自分で判断して生きていくことの素晴らしさ、とこの出来事を捉えているのです。

また、「恋」という感情を持つことが出来たことも、その一つであり大きな部分であると言えるでしょう。

 

「天国が落ちてくる日」

「善悪の知識の実」を食べるまで、二人に「死」はありませんでした。

しかし、罪を犯した罰として、「死」が与えられました。

アダムとエバが死後どのようになったのか、旧約聖書に記述はありませんが、神に背く罪を犯したことを考えると、「天に召される」というよりも、「天国が落ちてくる」という表現はピッタリだと思いませんか。

ハニーハニー 本当のことを教えてよ

神の気まぐれ 箱庭の中

ハニーハニー 隠れた力で飛ぼうよ

高く 定めの星より高く

「本当のことを教えてよ」

神はアダムとエバに「この実を食べたら死ぬ」という理由で触ることも食することも禁じていました。しかし、賢い蛇が、エバに神の命令に疑問を抱かせ、「人間が神のようになることを恐れて食べるなと言ったのだ」とそそのかします。そして、エバはアダムにも食べるように分け与えます。

「本当のこと」とはその蛇のそそのかした内容だとも思えますし、また、知識を持たないアダムが、知識を得たいという欲求を持ったとも考えられます。

 

「神の気まぐれ 箱庭の中」

「箱庭」とは、「浅い箱に土や砂を入れ、小さい橋、家、人形などを置き、木や草を植え、庭園、山水などに模したもの」のことです。

ここでは、神が創った楽園を指しているのでしょう。

旧約聖書では、神は、様々なものを創造しました。

人間も「自分たちに似ているものを創ろう」と創りましたが、しかし、自分たちに従うものを創ったわけで、気まぐれと言えば気まぐれですね。

生きていくのに何も不自由しない楽園を創ったのも、そこに二人を置いたのも気まぐれと言えるでしょうか。

人間が自分の意志でそこに生きているわけではありません

 

「隠れた力で飛ぼうよ」「定めの星より高く」

そんな不完全な状態で創られた自分たちですが、知識を得ることで、元々神が定めた位置よりも、さらに高い位置へ行けるようになるだろうと言えます。

なぜなら、全てを誰かにコントロールされている間は、自分の本来の力を出すことは出来ません。しかし、それが取り払われた時、他者によって勝手に定められた場所よりも、さらに上に進むことが出来るからです。

そのことをここでは意味しているように思えます。

ハニーハニー It's so brilliant!! ハニーハニー 僕らに

ハニーハニー It's so brilliant!! ハニーハニー 天国が

落ちてくる日まで

ここまでくると、無知で誰かにコントロールされている状態は不幸であり、知識を得て自分自身で判断しながら生きることこそが素晴らしい、というこの曲のもつ意味がだんだん見えてくるでしょうか。

旅する 二人は旅する 手探り 闇をかきわけて

離れた心のジェルが 流れて 混じり合って はじける夜に

楽園を追放された二人は、罪を背負い悲しみに暮れながら、外の世界へ出ていきます。

これまで様々なものを神から与えられて来ましたので、これからの生活は初めて全て自分たちでこなさなくてはなりません。それが「手探り闇をかきわけて」と表現されているように思います。

 

「離れた」とは楽園から離れたとも読めますし、安全を与えてくれる神から離れたとも読めます。

さらに物理的距離があることから、一人ではなく、「二人の」心のジェル(涙)だということでもあるでしょう。

この後にまた「月明り浴びて」と来るので、涙が混じり合って月明りに光ってはじけるという輝かしい様子が想像できるかと思います。

そこには恋の喜びも含まれます。二人は夫婦となり、支えあって生きていくことになります。

ハニーハニー 抜けがらの街で会おうよ

もうこれで無敵だ 最後の恋

ハニーハニー 月明り浴びて踊ろうよ

罪の花をばらまきながら

ハニーハニー It's so brilliant!! ハニーハニー 僕らに

ハニーハニー It's so brilliant!! ハニーハニー 天国が

ハニーハニー It's so brilliant!! ハニーハニー 僕らに

ハニーハニー It's so brilliant!! ハニーハニー 天国が

落ちてくる日まで

この曲でマサムネさんがこの歌詞に込めた意味だと私が考えた部分にアンダーラインを引きました。

この曲は、旧約聖書のアダムとエバの物語をモチーフにして(※その真偽や善悪を問うものではないと考えます)、そこから着想を得たご自身の考えを歌詞にされたように私には感じられました。

 

皆さんはいかがでしたでしょうか。