ローランダー、空へ

「ローランダー、空へ」は1992年9月に発売された3rdアルバム「惑星のかけら」に収録されました。

作詞・作曲:草野正宗、編曲:スピッツ

果てしなく どこまでも続く くねくねと続く細い道の

途中で立ち止まり君は 幾度もうなづき 空を見た

飛べ ローランダー

飛べ ローランダー

棕櫚の惑星へ 棕櫚の惑星へ たどり着くまで

始まりの行に「く」が続き、二行目には「い行」が重なっている音の流れがとても美しいですね。

 

「ローランダー」(英語:lowlander)の日本語訳は「低地人、スコットランド低地人」とありますが、ここでは「スコットランド低地人」を採りたいと思います。

その理由は、ここから飛んでたどり着く先の惑星にあるのが「棕櫚(シュロ)」というヤシの一種であり温暖な気候でしか育たない植物であること、後の歌詞にスコットランドで多く飼われている「羊」が登場すること。

それから、後の歌詞に出てくる飛ぶ理由とされる「夢」の内容が、スコットランドには存在しない温かい「渚」での光景であることです。

 スコットランドは寒冷な気候で、7月の一番暑い日でも最高気温は19度ほどまでしか上がりません。

 

そのような場所で飼われている「羊」はメタファーとなっています。

このまま静かに羊の目をして終わりを待つコメディ

疑うことなど知らずに 何かに追われて時はゆく

飛べ ローランダー

飛べ ローランダー

棕櫚の惑星へ 棕櫚の惑星へ たどり着くまで

他に世界があることも知らずに、あるいは知っていてもそこから出ることなど露程も思わずに、多少の紆余曲折がありながらも果てしなく続く誰かに決められたルートで、羊飼いに飼われている羊のように静かに、何も疑わず、何かに追われるように歩み、そして一生を終える。

そのように生きることを、まるで「コメディ」(=喜劇)のようだ、と歌います。

つまり羊は、「自らの人生を自らで選び取らず、決められたルートを生きる人間」のメタファーです。

「白い翼と 白いパナマ帽 渚の風を身体にまとう

夢を見たのさ」

「白い翼」は「翼をください」の歌詞にも歌われるように自由に大空を飛べることを意味します。純粋な気持ちであることも意味するのかもしれません。

パナマ帽」は暑い夏の象徴(「白い」は翼と音を合わせてあるのでしょう)、「渚の風を身体にまとう」もそうです。

どちらも、スコットランドのそれとは正反対の世界です。

そんな「夢を見たのさ」と「君」はこことは別の場所へ、自由の翼でもって飛んでいくことを想い空を見上げます。

飛べ ローランダー

飛べ ローランダー

飛べ ローランダー

飛べ ローランダー

棕櫚の惑星へ 棕櫚の惑星へ たどり着くまで

「飛べ ローランダー」と繰り返されるこの曲は、自分の進みたい方向へ向かう人物を応援しているように聞こえます。

それは、安全なルートを外れた険しい道であるだろうし、向かったとしても希望する場所へたどり着くことが果たして出来るかどうかもわからないからでしょう。

しかし、安全に生きることよりも、自分自身で選んだ希望する道へ向かうことに価値があると信じているからこその応援だと思います。

そこに、作詞当時のマサムネさんの価値観が表れているように思いました。