惑星のかけら

「惑星のかけら」は1992年9月に発売された3rdアルバム「惑星のかけら」に収録されました。

作詞・作曲:草野正宗、編曲:スピッツ

知らないふりをしていたんだ 君の夢を覗いたのさ

二つめの枕でクジラの背中にワープだ

ベチャベチャのケーキの海で 平和な午後の悪ふざけ

はかなげな笑顔で つま先から溶けそうだよ

「知らないふりをしていたんだ」と不穏な雰囲気でこの曲は始まります。

「夢」は嘘をつけませんから、ここでは、「君の本当の心の内を知らないふりをしていた」という意味でしょう。

君は確かにここにいて、僕の隣(二つ目の枕)に寝ていて、背中から抱き着き甘い性行為(ケーキの海で悪ふざけ)を行えば、まるで今にも消えてしまいそうな笑顔を見せてくれるので、僕はもう「つま先から溶けそう」なくらいに切なく恋しい気持ちになっています。

「平和な午後」ですから、時間はのんびりと進み、そこに流れる空気もゆったりと穏やかなものであるようです。

うしろの3行からは恋の喜びが感じられますが、何に対して「知らないふりをしていた」んでしょう。

骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら

骨の髄まで愛してよ 僕に傷ついてよ

それは、君の全てが僕のものではなく、僕が手に入れている君は、「輝く大きな惑星」のたった「かけら」だけということ。

だから、僕のことを徹底的に愛して欲しい、そして、僕によって切ない感情を抱いて欲しい、君が僕に対してそうであるように、僕も君の心に影響を与えたい、と歌います。

君から盗んだスカート 鏡の前で苦笑い

オーロラのダンスで素敵に寒いひとときを

いつでも心は卵だ 割れないように気をつけて

綿毛に守られて 二人は変わらず元気だね

二人は服を脱ぎ捨てて裸でいたようです。

先ほどの「悪ふざけ」が性行為であることがここでもわかるようになっていますね。

とても仲が良いようで、彼女がスカートを履く前に盗み取って、自分が身に着けて鏡の前に立ちふざけて遊んでいます。

そして、オーロラのようにスカートをひらめかせて二人でダンスを踊ります。

おそらく女性は下着姿か裸のままなのでしょう、「寒いひととき」からそんな情景が浮かんで来ます。

またこの寒さの表現は、次の「綿毛に守られて」という温かな様子と対比がされています。

 

さて、続く歌詞に、いつでも心は卵で、綿毛に守られている、とあります。

これまで読んできたことから考えるに、綿毛で守り温めている卵からは何かが生まれるから、それまでは割れないように気を付けて、と歌っているように思えます。

生まれるものとは、二人の間の「愛情」でしょうか。

割らずに大切に温めているので二人の関係は良いというのですが、それは、僕が一生懸命に割れないように守っているからだとも聞こえます。

骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら

骨の髄まで愛してよ 僕に傷ついてよ

誰かがベルを鳴らす

そうだよ 解かるだろ?

この「ベル」は、おそらく映画「郵便配達は二度ベルを鳴らす」で使われるような「呼び鈴」のことだろうと思いました。

そして、「誰か」とは、もう一人の冷静な自分でしょうか。

「本当は気がついているんだろう?」と呼び掛けてくるもう一人の自分に、「そうだよ、解かるだろ?」と、心の底では現実を知っているけれど知りたくない自分が返事をしているような、そんな風に読めます。

骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら

骨の髄まで愛してよ 謎のかけら

骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら

骨の髄まで愛してよ 僕に傷ついてよ 

「謎のかけら」

彼女のことはやはりわからないのです。

一緒にいる時にはとても仲良しで、でも完全に自分のものにはなってくれない。

二人の心にはこれから愛情が生まれてくると信じたいけれど、どうなんだろう。

でも、二人はとても、、、なぜなんだろう、どうすればいいんだろう。

混乱する僕の様子がうかがえます。

 

「惑星のかけら」は、君を本当の意味で手に入れられない、僕の切ない恋心を歌ったものと読めました。

 

最後に、言葉の使い方について感じたことを少し書いておきます。

「クジラ」「ベチャベチャのケーキの海」「溶ける」から海や水を連想させ、「オーロラ」から空を連想させ、「惑星」という言葉とうまく合わせてあります。

また、「クジラ」は冬の季語であり、「オーロラ」も冬の現象であることから、二人のあたたかな様子が続く歌詞の中に、どこか寒々しいような、そんな様子が伝わってくる気がしました。