アパート

 

「アパート」は1992年9月発売の3rdアルバム「惑星のかけら」に収録されました。

作詞・作曲:草野正宗 編曲:スピッツ

君のアパートは今はもうない だけど僕は夢から覚めちゃいない

一人きりさ 窓の外は朝だよ 壊れた季節の中で

誰の目にも似合いの二人 そして違う未来を見てた二人

小さな箱に君を閉じ込めていた 壊れた季節の中で

そう 恋をしてたのは 僕のほうだよ 枯れていく花は置き去りにして

いつも わがまま 無い物ねだり わけも解らず 青の時は流れて

「君のアパート」は「夢」と同じものと表現されているようです。

僕はまだ「君のアパート」にいるという「夢」の中を生きていますが、現実は「一人きり」で「窓の外は朝」新しい時がスタートしています。

現実世界では二人はとっくに終わっているのに、いつまでもそこから覚めたくない、一人抜け出せずに、「壊れた季節の中で」停滞しています。

実際、二人は同じ「アパート」で共に時間を過ごしていたのでしょう。それがいつしか僕にとって二人の関係の象徴となりました。「窓」という表現も、現実世界と夢の境界として用いられています。

 

 二人は「誰の目にも似合い」であり、自分たちもそう思っていたのでしょう。お互いに惹かれあい、相性もとても良かった。

「そして違う未来を見てた」。未来は最初から確定されているものではなく、築いていくもの。違う人間が共に歩むのであれば一緒に季節が巡るように様々な時を過ごしてお互いを尊重して関係を築きながら未来を作っていくことになります。最終的に別々の道を歩むこともあります。

 

しかし、僕にはそれがわからなかった。「君を閉じ込めていた」「小さな箱」も僕の「夢」(アパート)と同義で、違う人間は関係を築いていく必要があるということが理解できず、「いつも わがまま 無い物ねだり」相手を一人の人間として尊重できず、当然同じ未来へ進むだろうという自分の思いこみに完璧であることを求めました。

 

そのような関係はいつか破綻を迎えます。もともと僕に惹かれ咲き誇る「花」のようであった君の心はどんどんと枯れていきます。恋心はどんどん萎んでいきます。しかし、僕はそれに気付く余裕もありません。なぜなら一人夢中で「恋」をしていたからです。

 

「恋」とは、「人を好きになって、会いたい、いつまでもそばにいたいと思う、満たされない気持ち(を持つこと)」*1

 

「わけもわからず 青の時は流れて」ただ「恋」に夢中で自分の独りよがりの理想を押し付けていた。何もわかっていなかった青い幼い感情で、「壊れた季節の中」二人の関係を熟することも出来ずに、時間は過ぎていきました。

そう 恋をしてたのは 僕のほうだよ 枯れていく花は置き去りにして

いつも わがまま 無い物ねだり わけも解らず 青の時は流れて

君のアパートは今はもうない だけど僕は夢から覚めちゃいない

一人きりさ 窓の外は朝だよ 壊れた季節の中で

アパートは、終わりを迎えた恋を振り返り、未練や後悔を持ちつつも、再び新しく時を進もうとする青年の想いを歌った切ない歌詞でした。

 

この歌詞を読みながら「フェイクファー」という曲の歌詞に同じ単語がいくつか出てくることに気がつきました。比べて聴いてみると面白い発見がありましたので、興味のある方はぜひ聴いてみてください。

アパート

アパート

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