夏が終わる

「夏が終わる」は1993年9月に発売された4thアルバム「Crispy!」に収録されました。

作詞・作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳スピッツ

遠くまで うろこ雲 続く

彼はもう 涼しげな 襟もとを すりぬける

日に焼けた 鎖骨からこぼれた そのパワーで

変わらずにいられると 信じてた

「うろこ雲」とは秋の到来を告げる魚のうろこのように見える雲のことです。

これにより「彼」が「秋」を指していることがわかります。

秋の「涼しげな襟元」は少し前まで、夏の「日に焼けた鎖骨」だったわけですが、そこから感じる、まるでこぼれてあふれ出るような「パワー」によって「変わらずにいられると信じてた」というので、それに反して変化は「すりぬける」ように訪れたようです。

またひとつ夏が終わる 音もたてずに

暑すぎた夏が終わる 音もたてずに

深く潜ってたのに

変化は「音もたてず」知らない間にゆっくりと近づいてきていて、「深く潜ってた」のに起こってしまいました。今度は変わらずにいられると信じていたのに...

遠くまで うろこ雲 続く

彼はもう 涼しげな 襟もとを すりぬける

キツネみたい 君の目は強くて

彼方の 記憶さえ 楽しそうに つき刺してた

軽い砂を 蹴り上げて走る

濡れた髪が 白いシャツ はずむように たたいてた

「キツネ」は昔から頭のいい生き物で人を迷わせると言われています。君にもそんな雰囲気を感じ、さらに、今の君との時間を過ごすのに精いっぱいな自分とは違って、遠い過去の記憶も共に過ごしているような、そんな余裕が感じられたようです。

そして、砂浜を思わせる「軽い砂」を「蹴り上げて走る」軽やかさ、今まで海で泳いでいたのでしょうか、「濡れた髪」を弾ませて、君は躍動感がありとても楽しそう。

この段で、君がいかに魅力的であり自分がいかに惹かれていたかが表されています。そしてさらに、自分の知らない過去の記憶も楽し気に持ち合わせたままだという、自分が君にだけ夢中な状態とは違うことに対する不安も感じさせます。

「白いシャツ」が先ほど出てきた「襟もと」「鎖骨」と関連付けられることから、「日に焼けた鎖骨からこぼれたパワー」とは、君から感じたパワーのことでしょう。つまり、自分に向けられた熱い想いは今度こそ変わらずにいられると信じられたほどの強さだったのでしょう。

またひとつ夏が終わる 音もたてずに

暑すぎた夏が終わる 音もたてずに

深く潜ってたのに

深く潜っていたのは、君の魅力と君への恋の海。

「暑すぎた夏」と表現するほどに激しい恋の状態が、そこに深く潜ってじっとしていれば今度こそこのまま変わらないと信じていたのに、やっぱり夏が終わるように変化してしまった。そして「秋」がやってきた。この秋は、恋における秋、恋の冬に向かう序盤です。

実際の季節としても秋の到来は寂しさを感じさせるものです。

遠くまで うろこ雲 続く

彼はもう 涼しげな 襟もとを すりぬける

「彼」と表現されている秋ですが、具体的な次の「彼」が現れたのか、それとも、君の心がすり抜けていくように変化していることに気がついたということなのか。

 

「夏が終わる」は、季節が夏から秋へ変化する様子を比喩的に用いて、熱く燃え上がった夏の恋が、自分の願いもむなしく終わりを迎え、次の段階に入ってしまったという、センチメンタルな気持ちを感じる曲でした。

夏が終わる

夏が終わる

  • provided courtesy of iTunes