べビーフェイス

「べビーフェイス」は1994年9月発売の5thアルバム「空の飛び方」に収録されました。

作詞・作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳スピッツ

Bye Bye べビーフェイス

涙をふいて 生まれ変わるよ

Bye Bye べビーフェイス

今日から明日へ かすかな炎を絶やさないでいて

ビーフェイスとはさよならしよう 流した涙を拭いて生まれ変わろう 今日から明日へ一歩ずつ向かおう かすかな炎を絶やさないでいて」

これから、こんなお話が始まります。

華やかなパレードが 遠くなる日には

ありのままの世界に包まれるだろう

こわがらないで 歩き出せそっと

星になったあいつも空から見てる

「星になったあいつ」が「涙」と「華やかなパレード」の原因だと考えます。

近しい人が亡くなり、非日常的な日々が終わり日常が戻った時、ようやく人は現実世界の中に置かれます。

「華やかなパレード」としているのは、葬送パレードと言い換えてもよく、葬送一連の慌ただしく非日常的な日々のことを示しているのでしょう。

哀しみの中にありながらも、それはどこか賑わいを持ち、哀しみや現実を忘れさせてくれるような華やかさを持っていると言えます。

そんな華やかな日々が去った後、残された者に、静かに現実というものが訪れます。

亡くなった人のいない場所で、一人で初めて見る現実です。

それを、「怖がらないでこの現実をゆっくりそっと歩き出そう。亡くなったあいつも空から見守ってくれているから」と励まします。

Bye Bye ベビーフェイス

涙をふいて 生まれ変わるよ

Bye Bye べビーフェイス

今日から明日へ かすかな炎をたやさないでいて

ビーフェイスは「童顔」を意味しますが、ここでは、「あいつ」に守られて子供のような顔で、つまり、無邪気でいることが可能だった、ということを意味しているのでしょう。

守ってくれていた「あいつ」がいなくなったので、哀しみの涙を拭いたら、もうそういった子供のような状態からは生まれ変わらなくてはなりません。

隠し事のすべてに声を与えたら

ざらついた優しさに気づくはずだよ

真昼の夢を壊さないように

星になったあいつも空から見てる

それまで、無邪気でいられるために、「あいつ」は隠し事をしてくれていました。

それで本当の現実を見なくても良かったのです。

「あいつ」がいなくなることで現実が見え、その隠し事が全て明らかになった時、非常なショックを受けることになります。

しかし、なぜ隠されていたのかということを考えたら、無邪気に過ごさせてくれた「あいつ」の行為は、わかりにくくもなんと優しさに満ちたものだったかに気づかされます。

自分は大きな優しさに守られていた、それを知ることはこれから独り立ちする人間にとって大変な力になるものだと思います。

自分の価値を信じることが出来るからです。

その力を得ているのだから、「真昼の夢」つまり、これまで守られた中で無邪気に夢見ていたことや望んでいたことを自ら壊して消してしまうことなくこれからも持ち続けよう、今までは側で見ていてくれた「あいつ」も今は空から見ていてくれるから、としています。

真昼の夢を壊さないように

星になったあいつも空から見てる

Bye Bye べビーフェイス

涙をふいて 生まれ変わるよ

Bye Bye べビーフェイス

今日から明日へ かすかな炎を絶やさないでいて

絶やさないでいて 絶やさないでいて 愚かになれもっと

かすかな炎とは、弱々しくもまだ心に灯っている、「真昼の夢」と先ほど表現された夢や望みに対する炎です。

一人になった恐ろしさに、これから進む道の怖さに、思わず吹き消してしまいそうな、自ら壊してしまいそうな炎。

それを、考えすぎたり、慎重になりすぎたりせず、もっと愚か者のように大胆に、怖いもの知らずに振舞っていいのだから、絶やさないでいて。

「絶やさないで」と繰り返し言っているところにとても強い想いと願いを感じますね。

「あいつ」は恋人や配偶者とも考えられますし、親、兄姉、家族、恩師、先輩、後見人、など様々に当てはめることが出来るでしょう。

または、人ではなく、これまで自分が自由に振舞えるように取り計らってくれていた組織や環境に置き換えても読むことが出来そうです。

守られている、ということは、一見弱いことのようですが、実は強さを育むのに最適な環境で、自由に物事を行うことで自らが目指すべき方向を知り追及することが出来ますし、自分にはそれが許されるのだという自己価値を高めることが出来ます。

そして、その守りが無くなった時にも、その経験は大きな力となり、自分を守ってくれるものとなります。

例え一人になっても、決して一人ではない。

この曲は、様々な状況に当てはめて考えることが出来る普遍的な事象を歌っていて、多くの人に勇気と希望を与えてくれるでしょう。

私個人も、自分がこれまでどれだけ守られていたか、そして、今も守られているか、それに気づかされました。

その恩を次の世代に返していく、それがこれからの自分のテーマになるのだとも思い、優しさの連鎖についても考えるきっかけとなりました。

ベビーフェイス

ベビーフェイス

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